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徳永俊昭・日立製作所社長の経歴と政府依存|デジタル庁・防衛省・原発の国策連動

国策企業

2025年4月、日立製作所の社長に就任した徳永俊明氏は、日立の企業城下町・茨城県日立市で生まれ育ち、東京大学工学部を経て日立に入社した「真の生え抜き」経営者だ。

徳永俊明氏の経歴を追うと、デジタル事業を軸に防衛産業、原子力政策、官公庁システム受注という政府依存度の高い事業領域を統括してきた実態が浮かび上がる。

日立製作所は防衛省から年間280億円超を受注し、デジタル庁設立後の官公庁システム予算拡大の恩恵を受け、原子力政策では政府と二人三脚で歩んできた。

徳永俊明社長の経営戦略は、国策との連動なくしては語れない。

本記事では、徳永俊明氏の経歴と学歴、そして日立製作所と政府の密接な関係を詳しく検証する。

徳永俊昭のプロフィールと経歴

https://www.nikkei.com/

  • 徳永俊昭(とくながとしあき)

  • 生年月日 1967年3月15日(58歳)※2025年10月時点

  • 出身地  茨城県日立市

  • 職業   日立製作所社長兼CEO

日立の企業城下町で育った「真の生え抜き」

徳永俊昭は、2025年4月1日に日立製作所の代表執行役社長兼CEOに就任した経営者である。

1967年3月15日生まれ、茨城県日立市出身の58歳。

日立製作所の企業城下町として知られる日立市で育ち、日立の社宅に住んでいたという家庭環境から、「日立とともに育った」生え抜きリーダーとして注目される。

東大工学部からIT畑へ

徳永俊昭氏は1990年に東京大学工学部を卒業後、同年4月に日立製作所に入社した。

入社当初は金融機関向けのシステムエンジニアとしてキャリアをスタートさせた。

大学で機械工学を学んだが、重電部門ではなく、IT部門でキャリアを積んだことが特徴である。

デジタル事業トップとして頭角を現す

2017年には日立アプライアンス(現日立グローバルライフソリューションズ)の取締役社長に就任する。

2021年4月、徳永俊昭氏は代表執行役執行役副社長に昇格し、システム&サービス事業、ディフェンス事業を担当し、デジタル戦略を主導した。

Lumadaの中軸となるデジタルシステム&サービスにおける事業拡大をリードし、特にデジタル戦略の成長エンジンであるGlobalLogicの買収や統合を進めた手腕が高く評価されている。

2024年12月16日、日立製作所は小島啓二社長の後任として徳永俊昭氏の社長昇格を発表した。


徳永俊昭の学歴

東京大学工学部卒業

徳永俊昭氏は1990年に東京大学工学部を卒業している。

東京大学は日本の最高学府であり、特に工学部は日本の産業界に多くの技術者・経営者を輩出してきた。

日立市出身・日立社宅育ちの「真の生え抜き」

徳永俊昭氏は茨城県日立市の出身で、日立製作所の社宅で育ったとされる。

日立市は日立製作所の企業城下町として知られ、市の名前も日立製作所の創業に由来する。

https://prtimes.jp/

地元・日立市から東京大学工学部に進学し、そのまま日立製作所に入社するという経歴は、日立の「真の生え抜き」としての象徴的な存在である。

徳永俊昭氏は大学卒業後、大学院には進まず新卒で日立製作所に入社した。

35年間にわたり日立一筋でキャリアを積み上げ、IT・デジタル分野での実績を評価されて社長兼CEOに就任した。


日立製作所と防衛産業の密接な関係

年間280億円超の防衛省受注

日立製作所は、日本の防衛産業において重要な位置を占める企業である。

防衛省の政府調達データによれば、2022年に日立製作所が防衛省から受注した契約金額は280億9,245万円に達し、205件の政府調達案件を落札している。

これは日本の防衛関連企業の中でも上位の規模である。

ディフェンスシステム事業部の実態

日立製作所の防衛事業を担うのが、ディフェンスシステム事業部である。

具体的な防衛関連システムとしては、ソーナーシステム(潜水艦探知用の音響探知装置)、レーダーシステム、指揮統制システム、情報システム、サイバーセキュリティシステムなどがある。

徳永俊昭副社長時代のディフェンス事業担当

徳永俊昭氏が副社長時代に担当していた業務の一つが、このディフェンス事業である。

2021年から2024年にかけて、徳永俊昭氏は社長補佐としてディフェンス事業を担当し、防衛省との関係強化を進めてきた。

近年、経済安全保障の重要性が高まる中、日立製作所は経産省OBの受け入れを進めているとされる。


日立と原子力政策|政府との二人三脚

日本の原子力政策における日立の位置づけ

日立製作所は、日本の原子力政策において中核的な役割を担ってきた企業である。

日立は沸騰水型原子炉(BWR)の技術を持ち、国内の原子力発電所の建設・保守に長年携わってきた。

英国原発プロジェクト3000億円損失と撤退

2012年、日立はドイツの電力会社2社から英国の原発開発会社ホライズン・ニュークリア・パワー社を892億円で買収し、英国ウェールズ地方のアングルシー島で2基の原発新設を計画した。

だが世界的な安全基準強化や労務費の高騰により、総事業費は約3兆円に膨張した。

日立は2019年1月に計画凍結を決断し、2019年3月期決算で約3000億円の特別損失を計上し、2020年9月には正式に撤退を発表した。

小型原発(SMR)で北米展開

一方で日立は小型モジュール炉(SMR)の開発に注力している。

GE日立は小型原発「BWRX-300」を開発し、2028年にもカナダで初号機を建設する計画である。

日本政府も次世代原子力技術としてSMRを推進しており、日立の事業は再び政府のエネルギー政策と連動している。

官公庁システム受注と政府調達の実態

日立のデジタル事業における官公庁依存

徳永俊昭氏が副社長時代に統括してきた日立のデジタル事業は、官公庁システムへの依存度が極めて高い。

日立の公共社会事業部門は、中央省庁や地方自治体向けに行政システム、マイナンバー関連システム、税務システム、住民基本台帳システムなどを提供している。

これらは随意契約や指名競争入札による政府調達案件が多く、長期的な保守契約により安定的な収益をもたらす構造となっている。

徳永俊昭氏は副社長時代に「金融事業、公共社会事業、デジタル戦略担当」として、この官公庁ビジネスの拡大を主導してきた。

デジタル庁設立と予算拡大の恩恵

2021年9月にデジタル庁が設立されて以降、政府のデジタル化予算は急拡大している。デジタル庁の2023年度予算は約5,800億円に達し、そのうち相当部分がシステム開発・保守に充てられている。

日立はこの予算拡大の主要な受益企業の一つである。特にマイナンバーシステムや行政システムのクラウド化(ガバメントクラウド構想)において、日立は中核的な役割を担っている。

政府の基幹システムを特定企業が長期にわたり受注し続ける構造は、透明性や競争性の観点から課題も指摘されている。

GlobalLogic買収と社長昇格への道筋

徳永俊昭氏の社長昇格を決定づけたのが、2021年の米IT企業GlobalLogicの買収である。

買収額は約1兆円とされ、日立のM&A史上最大規模の案件となった。

徳永俊昭氏は「取締役会を説得してGlobalLogicの買収を実現した」と評価され、この実績が社長就任の決定打となった。

GlobalLogicは米国やインドに開発拠点を持ち、デジタルエンジニアリングサービスを提供する企業である。

この買収により日立は約2万5,000人のデジタル人材を獲得し、官公庁システムだけでなく民間企業向けデジタルサービスの強化を図っている。

徳永俊昭社長のデジタル戦略と国策連動

Lumadaの展開と製造業デジタル化

徳永俊昭社長が主導してきたのが、日立のデジタル戦略である。

日立は「Lumada」というデジタルプラットフォームを展開し、IoT、AI、ビッグデータ解析を活用した社会イノベーション事業を推進している。

Lumadaは2016年5月にIoTプラットフォームとして始動して以降、2020年度実績では事業ポートフォリオにおいて日立全体の8分の1を占める中核事業にまで成長している。

徳永俊昭氏は副社長時代に「デジタルシステム&サービス統括本部長」として、これらのデジタル事業を統括してきた。

GlobalLogic買収とデジタル事業強化

日立のデジタル戦略における重要な出来事が、2021年の米IT企業GlobalLogicの買収である。

買収額は約1兆円とされ、日立のデジタル事業強化の象徴的な案件となった。

徳永俊昭氏は「取締役会を説得して、GlobalLogicの買収を実現した」と評価されており、この買収が社長昇格の決定打となった。

GlobalLogicは、日立のIT、エネルギー、モビリティ、ライフ、インダストリーの5セクターと連携し、鉄道、エネルギー、ヘルスケアなど、社会インフラに直結するミッションクリティカル領域のDXに寄与している。

官公庁ビジネスとデジタル化政策

日立のデジタル事業の主要顧客は、金融機関と官公庁である。

特に公共社会事業では、中央省庁や地方自治体の行政システム、マイナンバーシステム関連、税務システムなど、政府のデジタル化政策に直結する事業を受注している。

報道によれば、マイナンバー関連事業で「地方公共団体情報システム機構」から巨額発注を受けた大企業のうち、日立製作所は推計94億円のマイナンバー関連事業を受注していた。

徳永俊昭氏は副社長時代に「金融事業、公共社会事業、デジタル戦略担当」として、これらの官公庁ビジネスを統括してきた。

このように、徳永俊昭社長のデジタル戦略は、政府のデジタル化政策と密接に結びついている。


徳永俊昭社長の政界・官界ネットワーク

https://www.nikkei.com/

防衛省との関係とディフェンス事業

徳永俊昭社長が率いる日立製作所の事業展開を支えているのは、同氏が構築してきた政界・官界とのネットワークである。

重電・インフラ産業は公共事業や政府調達に大きく依存するため、政策決定者との関係構築は企業の生命線となる。

特に注目されるのは、防衛省との関係である。

防衛省の政府調達データによれば、2022年に日立製作所が防衛省から受注した契約金額は280億9,245万円に達し、205件の政府調達案件を落札している。

徳永俊昭氏が副社長時代に担当していた業務の一つが、このディフェンス事業である。

2021年から2024年にかけて、徳永俊昭氏は社長補佐としてディフェンス事業を担当し、防衛省との関係強化を進めてきた。

政治献金と自民党との関係

政治献金の面でも、日立製作所は積極的な活動を展開している。

2023年11月に公表された政治資金収支報告書によれば、日立製作所は自民党の政治資金団体「国民政治協会」に対して3,500万円の献金を行っている。

また、2013年から2021年までの9年間では、日立製作所は国民政治協会に対して約3億3千万円を献金していたことが明らかに。

日本経済新聞の2025年3月の報道によれば、日立製作所は国民政治協会への献金額上位10社の一つとなっている。

日立製作所は取材に対して「『政策本位の政治の実現』や『議会制民主主義の健全な発展』のための企業の寄付は、企業の社会的役割の一環として重要性を有する」と回答している。

原子力・鉄道インフラと政府支援

日立製作所は、原子力発電や鉄道インフラといった国策事業において、政府との密接な関係を持っている。

日立は沸騰水型原子炉(BWR)の技術を持ち、国内の原子力発電所の建設・保守に長年携わってきた。

また、鉄道システムは国土交通省の調達対象となっており、日立は国内外で鉄道インフラ事業を展開している。

これらの事業は、政府のエネルギー政策やインフラ輸出戦略と密接に結びついており、政府支援や政府系金融機関からの融資を受けている。

徳永俊昭社長の経営戦略は、こうした政府との関係を基盤としており、政策決定プロセスにおける公平性や透明性という観点から、今後も注視が必要である。


まとめ:徳永俊昭社長と国策企業日立の全体像

https://mainichi.jp/

防衛・原発・デジタルの三位一体

徳永俊昭社長が率いる日立製作所は、防衛産業、原子力事業、デジタル化政策という三つの国策分野で中核的な役割を担っている。

防衛省から年間280億円超の受注、原子力発電所の建設・保守、マイナンバーシステムを含む官公庁デジタル化事業など、日立の主要事業は政府の政策と密接に結びついている。

徳永俊昭氏は副社長時代にディフェンス事業、公共社会事業、デジタル戦略を統括し、これらの国策事業を一手に担ってきた。

政治献金と政府調達の関係

日立製作所は自民党の政治資金団体「国民政治協会」に対して継続的に献金を行っており、2013年から2021年までの9年間で約3億3千万円を献金している。

同時期に、日立は政府から巨額の事業を受注しており、マイナンバー関連事業だけでも推計94億円に達する。

政治献金と政府調達の関係は、企業の要望が政策に反映される構造を生み出しており、政策決定における公平性という観点から課題が残る。

GlobalLogic買収と国際展開

徳永俊昭氏が主導した2021年の米IT企業GlobalLogic買収(約1兆円)は、日立のデジタル事業強化の象徴である。

この買収により、日立は社会インフラに直結するミッションクリティカル領域のDXを加速。

また、原子力事業では小型モジュール炉(SMR)の開発に注力し、カナダや米国での展開を計画している。

これらの国際展開は、日本政府の「インフラシステム輸出戦略」と連動しており、政府系金融機関からの支援を受けている可能性が高い。

権力ウォッチの視点

当サイト『権力ウォッチ』が徳永俊昭社長と日立製作所の事例から読み取るべきは、「国策企業」の実態である。

徳永俊昭氏の経営手腕は確かに優れているが、その成功を支えているのは政府との密接な関係、政府調達、政治献金という構造だ。

私たちが特に注視すべきは、企業が政治献金を行い、その企業が政府から巨額の事業を受注する構図である。

これは利益相反の可能性を孕んでおり、政策の公平性を根底から揺るがす。

国策企業として恩恵を受ける企業には、政府調達の詳細、政治献金の実態、政府支援の内容を開示する責任がある。

しかし現状では、こうした情報の多くが断片的にしか公開されておらず、市民が企業と政府の関係を正確に把握することは困難である。

私たち『権力ウォッチ』は、政府調達と政治献金の関係を可視化し、その是非を問い続ける。

それが公正な市場競争と民主的な政策決定を守るために、市民が果たすべき監視の役割だと考える。

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