日立製作所の代表執行役社長兼CEOである徳永俊昭氏は、2025年4月1日に日本を代表する総合電機メーカーのトップに就任した。
1967年3月15日生まれ、茨城県日立市出身の徳永俊昭氏は、東京大学工学部卒業後、1990年に日立製作所に入社し、金融システムエンジニアとしてキャリアをスタート。
35年間にわたり日立一筋で、IT・デジタル事業を主導し、GlobalLogic買収約1兆円を成功させた手腕が評価され社長に抜擢された。
日立製作所は、防衛省から年間280億円超を受注し、原子力事業を推進し、デジタル庁の政策と連動する政府調達ビジネスに深く依存している。
徳永俊昭氏を通じて見える、日立製作所と政府の共依存構造を徹底解説する。
徳永俊昭のプロフィール

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 徳永俊昭(とくながとしあき) |
| 生年月日 | 1967年3月15日(58歳・2025年時点) |
| 出身地 | 茨城県日立市 |
| 学歴 | 茨城県立水戸第一高卒業、東京大学工学部卒業(1990年) |
| 現職 | 株式会社日立製作所 代表執行役社長兼CEO(2025年4月1日就任) |
| 前職 | 代表執行役副社長、執行役専務、日立アプライアンス社長 |
| 経歴 | 1990年日立製作所入社、金融システムSE、日立デジタル社取締役会長 |
| 専門分野 | IT・デジタル事業、金融システム、M&A戦略 |
| 主な実績 | GlobalLogic買収約1兆円、デジタル事業拡大 |
徳永俊昭氏は、1967年3月15日に茨城県日立市で生まれた。
日立市は日立製作所の企業城下町として知られ、徳永俊昭氏の父親も日立製作所の社員であったとされる。
徳永俊昭氏は日立の社宅で育ち、幼少期から日立製作所に囲まれた環境で生活していた。
東京大学工学部を卒業後、1990年に日立製作所に入社し、35年間にわたり日立一筋でキャリアを積んできた。
2025年4月1日、徳永俊昭氏は日立製作所の代表執行役社長兼CEOに就任。
日立製作所の「デジタルセントリック」戦略を主導する人物として、全国的に注目されている。
日本企業の経営者やビジネスリーダーの戦略を理解するために、以下の書籍が参考になる。
徳永俊昭氏のような日本企業のトップ経営者が、どのように企業を成長させているのかを知る上で、経営戦略の基礎知識は重要である。
詳しい経歴──日立生え抜きからIT・デジタル事業トップへ

茨城県日立市出身と東京大学工学部
徳永俊昭氏は1967年3月15日、茨城県日立市に生まれた。
日立市は日立製作所の創業地であり、企業城下町として知られる。
徳永俊昭氏の父親は日立製作所の工場に勤務しており、徳永俊昭氏は日立の社宅で育った。
徳永俊昭氏は後に「幼稚園のころから日立の社宅で育った。バスに乗っても、タクシーに乗っても、買い物するところも、病院も、すべて日立グループだった」と振り返っている。
日立市の同級生の親の9割が日立関係に勤めるという環境で、徳永俊昭氏は日立製作所と共に育った。
東京大学工学部に進学し、機械工学を学んだ。
東京大学工学部は、日本の産業界に多くの技術者・経営者を輩出してきた。
1990年日立製作所入社──金融システムSE

1990年3月、徳永俊昭氏は東京大学工学部を卒業。
同年4月、徳永俊昭氏は日立製作所に入社した。
就職先として日立製作所を選ぶことに迷いはなかったという。
入社時、父親からは自分と同じ重電畑を勧められると思いきや、「これからはIT」と助言され、IT部門への配属を希望した。
徳永俊昭氏は入社後、国内金融機関向けのシステムエンジニアとしてキャリアをスタートさせた。
主に旧三和銀行(現三菱UFJ銀行)を長く担当し、金融システム分野での経験を積んだ。
東京大学工学部で機械工学を学びながらも、重電部門ではなくIT部門でキャリアを積んだことが、徳永俊昭氏の特徴である。
日立アプライアンス社長(2017年)
2006年、徳永俊昭氏は情報・通信グループ金融システム事業部金融システム第一本部第一部長に就任した。
2014年には情報・通信システムグループ情報・通信システム社サービス事業本部スマート情報システム統括本部長を務めた。
2017年、徳永俊昭氏は日立アプライアンス(現日立グローバルライフソリューションズ)の取締役社長に就任。
日立アプライアンスは、家電および空調事業を担当する会社である。
徳永俊昭氏は、家電製品へのデジタル活用を推進するとともに、日立アプライアンスと日立コンシューマ・マーケティングの合併を主導した。
低迷していた家電事業の再編や成長戦略を主導し、社内外から高い評価を得た。
執行役常務・専務へ昇格(2019年〜2020年)
2019年3月、徳永俊昭氏は執行役常務に昇格し、サービス&プラットフォームビジネスユニットCOO(最高執行責任者)に就任した。
デジタル事業の強化を担当し、着実に実績を重ねた。
2020年、徳永俊昭氏は執行役専務として、サービス&プラットフォームビジネスユニットCEO、日立グローバルデジタルホールディングス社取締役会長兼CEO、日立ヴァンタラ社取締役会長兼CEOを兼務した。
デジタル事業のトップとして、日立のデジタル戦略を主導する立場となった。
代表執行役副社長(2021年〜2024年)
2021年4月、徳永俊昭氏は代表執行役執行役副社長に昇格。
社長補佐として、システム&サービス事業、ディフェンス事業を担当し、システム&サービスビジネス統括責任者、社会イノベーション事業統括責任者を務めた。
2022年4月からは、社長補佐として金融事業、公共社会事業、ディフェンス事業、サービス・プラットフォーム事業、社会イノベーション事業推進、デジタル戦略を担当。
デジタルシステム&サービス統括本部長、日立デジタル社取締役会長を兼務した。
徳永俊昭氏の最大の実績は、2021年7月に約1兆円を投じて実施した米GlobalLogic(グローバルロジック)の買収である。
買収交渉の過程では、銀行やプライベートエクイティファンドなど20人ほどからオンラインで質問攻めに遭ったが、徳永俊昭氏はディールの中心にいた。
徳永俊昭氏は「結果的にうまくいったので、その困難も非常に良い経験になった。あのギリギリ感を感じることができたのは収穫だった」と当時を振り返る。
社長兼CEO就任(2025年4月1日)

2024年12月16日、日立製作所は徳永俊昭氏の社長昇格を発表。
小島啓二社長(68歳)の後任として、徳永俊昭氏(57歳)が2025年4月1日付で代表執行役社長兼CEOに就任することが決定した。
小島啓二氏は副会長となり、東原敏昭会長(69歳)は留任した。
社長就任の打診を受けたのは2024年10月末で、取締役会議長であり、指名委員長の井原勝美氏から聞いたという。
徳永俊昭氏は「責任の重さを考えるにつけ、大きなプレッシャーを感じ、『はて、どうしたものか』と思ったのが正直なところ。だが、こうした経験は、そうそうあるチャンスではない。得られないチャンスであれば、ぜひチャレンジしてみたいと考え、全力をあげて取り組むと返事をした」と語る。
2025年4月1日、徳永俊昭氏は日立製作所の代表執行役社長兼CEOに正式に就任した。
小島啓二前社長は徳永俊昭氏を「創業の地からやってきた大本命」「デジタル事業の申し子」と評した。
徳永俊昭氏のようなビジネスリーダーのキャリア形成を理解するために、以下の書籍が参考になる。
日立一筋35年でトップに上り詰めた徳永俊昭氏のキャリアパスを理解する上で、経営戦略やリーダーシップの知識は重要である。
日立製作所と防衛産業の実態──防衛省280億円受注の構造

日立の防衛事業の規模
日立製作所は、日本の防衛産業において重要な位置を占める企業である。
防衛省の政府調達データによれば、2022年に日立製作所が防衛省から受注した契約金額は280億9,245万円に達し、205件の政府調達案件を落札している。
これは日本の防衛関連企業の中でも上位の規模である。
2019年以降の推移を見ると、2019年135億5,664万円、2020年172億9,828万円、2021年221億5万円、2022年280億9,245万円と、年々増加している。
日立製作所の防衛事業への依存度は、年々高まっている。
ディフェンスシステム事業部の実態

日立製作所の防衛事業を担うのが、ディフェンスシステム事業部である。
同事業部は「防衛・航空宇宙・セキュリティ分野を支える技術を核に、日立グループの技術を集結して社会インフラ安全保障事業を推進する」と公式サイトで説明している。
ディフェンスシステム事業部は、防衛事業を通じて培った技術や経験を活かし、社会インフラ全体に安全保障を広げる取り組みを進めている。
サイバー攻撃やテロ、大規模自然災害などの地球規模の課題に挑戦し、日立グループ各社と連携して海底から航空宇宙、サイバー空間にわたる安全・安心を支援する製品やソリューションを提供している。
ソーナー・レーダー・指揮統制システム
日立製作所が提供する具体的な防衛関連システムは、以下の通りである。
主な防衛システム:
- ソーナーシステム(潜水艦探知用の音響探知装置)
- レーダーシステム
- 指揮統制システム
- 情報システム
- サイバーセキュリティシステム
- データリンク(防衛向け無線通信・情報共有システム)
- ドローン検知システム
2024年8月には、高見康裕防衛大臣補佐官が日立製作所横浜事業所を視察し、ソーナーシステムなどの製造現場を視察したことが報じられている。
日立の防衛事業の特徴は、海底から宇宙、サイバー空間まで広範囲にわたるシステム開発である。
防衛省・自衛隊を主要クライアントとし、最新技術に基づいたシステムの提案から設計、開発、導入、運用まで一貫して担う。
経済安全保障と政府との関係

徳永俊昭氏が副社長時代に担当していた業務の一つが、このディフェンス事業である。
2021年から2024年にかけて、徳永俊昭氏は社長補佐としてディフェンス事業を担当し、防衛省との関係強化を進めてきた。
近年、経済安全保障の重要性が高まる中、日立製作所は経産省OBの受け入れを進めているとされる。
ダイヤモンド誌の報道によれば、日立を含む大手電機メーカーが経済安全保障の専任部署を立ち上げ、経産省OBを受け入れている実態が明らかになっている。
防衛事業と経済安全保障は密接に結びついており、政府との関係強化が事業拡大の鍵となっている。
日立と原子力政策──英国原発損失3000億円と小型原発戦略

日本の原子力政策における日立の位置づけ
日立製作所は、日本の原子力政策において重要な位置を占める企業である。
日立は、東芝、三菱重工業と並ぶ日本の原子力メーカー「御三家」の一角を成す。
日立製作所は、日本国内の原子力発電所向けの機器製造、保守、廃炉支援などを手掛けている。
日本政府は、福島第一原発事故後も原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発再稼働を推進している。
日立製作所は、政府の原発政策と連動した事業展開を続けている。
英国原発プロジェクト3000億円損失と撤退
日立製作所の原子力事業における最大の失敗が、英国原発プロジェクトである。
日立は2012年、ドイツの電力会社2社から原発開発会社ホライズン・ニュークリア・パワー社を892億円で買収した。
英国ウェールズ地方アングルシー島で2基の原発新設を計画し、2020年代前半の運転開始を目指していた。
しかし、世界的な安全基準強化や労務費の高騰により、総事業費が当初の2兆円から3兆円に膨張。
英国政府との電力買い取り価格をめぐる交渉が難航し、国内電力大手との出資交渉も進まなかった。
2019年1月、日立は「経済合理性の観点」を理由に計画の凍結を決定。
2019年3月期、日立は約3000億円(正確には2,946億円)の特別損失を計上した。
これは、日立製作所にとって大きな経営上の失敗であった。
2020年9月16日、日立は英国原発プロジェクトからの完全撤退を正式に決定した。
小型原発(SMR)で北米展開

英国原発プロジェクトで大きな損失を出した日立は、原子力事業の方向性を転換した。
日立は現在、小型モジュール炉(SMR: Small Modular Reactor)の開発と北米展開に注力している。
SMRは、従来の大型原発に比べて建設コストが低く、建設期間も短いとされる。
日立は、米国のGE(ゼネラル・エレクトリック)と共同でSMRの開発を進めている。
日立は、北米市場でのSMR展開を成長戦略の一つに位置づけている。
政府の原発回帰政策と日立の利益
日本政府は、2022年以降、原発回帰政策を明確にしている。
岸田政権は、「原発の最大限活用」を掲げ、既存原発の再稼働、運転期間延長、次世代原発の開発・建設を推進している。
日立製作所は、政府の原発回帰政策の恩恵を受ける立場にある。
日立は、既存原発の保守・点検、再稼働支援、廃炉支援などで収益を確保している。
また、次世代原発(SMR)の開発では、政府からの補助金や支援を受ける可能性がある。
日立製作所の原子力事業は、政府の政策と密接に連動している。
日本の原子力政策やエネルギー問題を理解するために、以下の書籍が参考になる。
日立製作所のような原子力メーカーが、どのように政府の政策と連動しているのかを知る上で、エネルギー政策の基礎知識は重要である。
デジタル戦略と政府調達──Lumadaとデジタル庁の連動

Lumadaプラットフォームと政府のデジタル化政策
徳永俊昭氏が主導してきたのが、日立のデジタル戦略である。
日立は「Lumada(ルマーダ)」というデジタルプラットフォームを展開し、IoT、AI、ビッグデータ解析を活用した社会イノベーション事業を推進。
Lumadaは、IT(情報技術)、OT(制御・運用技術)、プロダクトを組み合わせたソリューションである。
日立のデジタル事業の主要顧客は、金融機関と官公庁だ。
特に公共社会事業では、中央省庁や地方自治体の行政システム、マイナンバーシステム関連、税務システムなど、政府のデジタル化政策に直結する事業を多数受注している。
徳永俊昭氏は副社長時代に「金融事業、公共社会事業、デジタル戦略担当」として、これらの官公庁ビジネスを統括してきた。
GlobalLogic買収約1兆円の背景

徳永俊昭氏の最大の実績が、2021年7月に実施した米GlobalLogicの買収である。
買収金額は約1兆円(正確には約9,600億円)で、日立製作所として過去最大規模のM&Aとなった。
GlobalLogicは、デジタルプロダクトエンジニアリングサービスを提供する企業で、世界中にエンジニアを擁している。
日立は、GlobalLogicの買収により、デジタル事業の人材とノウハウを一気に獲得した。
この買収は、日本政府のデジタル化政策と連動している。
日本政府は、デジタル庁を設置し、行政のデジタル化を推進している。
日立は、GlobalLogicの技術を活用し、政府のデジタル化案件を受注する戦略である。
徳永俊昭氏は、この買収を成功させた手腕を評価され、社長に抜擢された。
マイナンバー・行政システムの受注実態
日立製作所は、政府調達ビジネスで大きな存在感を示している。
主な政府調達案件:
- 国税総合管理(KSK)システムの開発及び改修
- 確定申告書等作成コーナーの開発及び改修
- マイナンバーシステム関連
- 各省庁の基幹システム
防衛省以外の政府調達でも、日立製作所は多数の案件を受注している。
日立製作所の公共社会事業は、政府のIT投資に大きく依存している。
徳永俊昭氏が担当してきた公共社会事業は、政府の政策と密接に連動している。
デジタル庁との関係
2021年9月、デジタル庁が設置された。
デジタル庁は、行政のデジタル化、マイナンバーカードの普及、自治体システムの標準化などを推進している。
日立製作所は、デジタル庁の政策と連動した事業展開を進めている。
徳永俊昭氏は、デジタル戦略担当副社長として、デジタル庁との関係構築を進めてきた。
日立のデジタル事業は、政府のデジタル化予算に大きく依存している。
日立と政府の共依存構造──補助金・政策・受注の三位一体

政府補助金の実態
日立製作所は、政府から多額の補助金を受け取っているとされる。
日本政府は、経済安全保障、グリーン投資、デジタル化などの分野で、企業に補助金を交付している。
日立製作所は、これらの補助金を積極的に活用している。
主な補助金分野:
- 半導体・蓄電池などの経済安全保障
- 再生可能エネルギー・送配電網のグリーン投資
- デジタル化・AI開発
政府の産業政策と日立の事業戦略は、密接に連動している。
政策決定への影響力
日立製作所のような大企業は、政府の政策決定に影響力を持つとされる。
経団連(日本経済団体連合会)を通じた政策提言、業界団体を通じたロビー活動、経済産業省との協議などを通じて、日立は政府の政策決定に関与している。
日立の会長や社長は、政府の各種審議会や委員会の委員を務めることがある。
日立の前会長である中西宏明氏は、経団連会長(2018年〜2021年)を務め、政府の政策決定に大きな影響力を持っていた。
徳永俊昭氏も、今後、政府の審議会委員などに就任する可能性がある。
天下りと官民連携

日本の大企業と中央省庁の間には、天下りという慣行が存在する。
ダイヤモンド誌の報道によれば、日立を含む大手電機メーカーが経済安全保障の専任部署を立ち上げ、経産省OBを受け入れている実態が明らかになっている。
天下りを受け入れることで、企業は政策情報の入手や政府調達での優位性を得られるとされる。
日立製作所が具体的に何名の官僚OBを受け入れているかは明らかにされていないが、官民連携の一環として経産省OBを受け入れていると報じられている。
徳永俊昭氏が社長として、この官民連携をどのように扱うのかが注目される。
株主構造と外部チェックの不在

日立製作所は東証プライム市場に上場しているが、株主構造には特徴がある。
主な株主(2024年3月31日時点):
- 日本マスタートラスト信託銀行(信託口):11.67%
- 日本カストディ銀行(信託口):5.19%
- その他機関投資家
日立製作所の株主は、機関投資家が中心である。
機関投資家は、短期的な利益を重視する傾向があり、政府との癒着構造を監視する役割を果たしにくい。
日立製作所のコーポレートガバナンスには、外部からのチェック機能が十分に働いていないという指摘がある。
徳永俊昭氏が社長として、透明性の高い経営を実現できるのかが問われている。
日本の政治と経済の関係や社会問題を理解するために、以下の書籍が参考になる。
日立製作所のような国策企業が、どのように政府と関係を構築しているのかを理解する上で、政治経済の基礎知識は重要である。
政府と密接に関係している企業トップについて下記の記事で詳しく解説している。
徳永俊昭の私生活

家族構成(情報非公開)
徳永俊昭氏の私生活については、ほとんど情報が公開されていない。
公開されている情報:
- 結婚:詳細非公開
- 家族:詳細非公開
- 子供:詳細非公開
日立製作所の社長という立場上、プライバシー保護のため、家族情報は公開されていない。
報道記事やインタビューでも、徳永俊昭氏は私生活についてほとんど語っていない。
日立市での生い立ち

徳永俊昭氏は、茨城県日立市で生まれ育った。
日立市は日立製作所の創業地であり、企業城下町として知られる。
徳永俊昭氏の父親は日立製作所の工場に勤務しており、徳永俊昭氏は日立の社宅で育った。
徳永俊昭氏は「幼稚園のころから日立の社宅で育った。バスに乗っても、タクシーに乗っても、買い物するところも、病院も、すべて日立グループだった。身近にあって、社会を支えている存在という認識だった」と振り返る。
同級生の親のどちらかの9割が日立関係に勤める環境で育った。
日立市と日立製作所は、徳永俊昭氏のアイデンティティの一部である。
世界的な建築家・妹島和世氏(日立市出身)との対談で、徳永俊昭氏は地元への愛着を語っている。
父親の影響とIT部門へのキャリア選択
徳永俊昭氏の父親は、日立製作所の重電部門で働いていたとされる。
徳永俊昭氏が日立製作所に入社する際、父親からは自分と同じ重電畑を勧められると思いきや、「これからはIT」と助言された。
この父親の助言が、徳永俊昭氏のキャリアを決定づけた。
徳永俊昭氏は後に「父が10枚ほどのリポートを書いて、IT部門の重要性を説いてくれた。それがデジタル事業の申し子を生んだ」と振り返っている。
徳永俊昭氏は、父親の助言に従い、金融システムエンジニアとしてキャリアをスタートさせた。
この選択が、35年後の社長就任につながった。
まとめ──徳永俊昭と日立の国策連動

徳永俊昭の立場
徳永俊昭氏は、日立製作所の代表執行役社長兼CEOとして、日本を代表する総合電機メーカーのトップに立つ人物である。
徳永俊昭氏が握る権力:
- 連結売上収益約10兆円の企業のトップ
- 連結従業員約32万人を統括
- デジタル、グリーン、イノベーション戦略の決定権
- 政府との関係構築の責任者
徳永俊昭氏は、日立一筋35年で社長に上り詰めた生え抜きリーダーである。
日立市で育ち、日立の社宅で暮らし、日立に入社し、日立のデジタル戦略を主導してきた。
徳永俊昭氏は、日立製作所そのものを体現する人物である。
日立と政府の共依存構造

徳永俊昭氏の存在は、日立製作所と政府の共依存構造を象徴している。
共依存の構造:
政府(防衛省・経産省・デジタル庁)
↓
政策決定(原発回帰・経済安全保障・デジタル化)
↓
政府調達・補助金(防衛280億円・デジタル・原発)
↓
日立製作所の利益
↓
政治献金・政策提言
↓
政府(政策決定に影響)
日立製作所は、防衛事業、原子力事業、デジタル事業の全てで政府に依存している。
政府の政策が変われば、日立の事業戦略も変わる。
日立と政府は、相互に依存し、影響を与え合う関係にある。
今後の展望

徳永俊昭氏は、2025年4月に社長に就任したばかりである。
想定される戦略:
- デジタル事業のさらなる拡大
- グリーン(脱炭素)事業の強化
- GlobalLogicの統合とシナジー創出
- 政府調達ビジネスの継続的な受注
徳永俊昭氏は「デジタルをコアに、トランスフォーム(変革)を続ける」と抱負を語っている。
2025年2月、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOと3時間ほど話をする機会があり、徳永俊昭氏は「日立がIT、OT、プロダクトのすべてを持っていることはパワフルであり、データに基づいて新たな価値を生み出すことができる能力は希有である」と指摘されたという。
徳永俊昭氏は、日立の強みを活かし、デジタル事業で成長を目指す。
しかし、日立の事業は政府の政策に大きく依存している。
徳永俊昭氏が、政府との健全な距離感を保ちながら、透明性の高い経営を実現できるのかが問われている。
日本の国策企業や権力構造を理解するために、以下の書籍が参考になる。
徳永俊昭氏のような国策企業のトップが、どのように政府と連動しているのかを監視することが、民主主義を守るために不可欠である。
権力ウォッチの視点

『権力ウォッチ』は、徳永俊昭氏と日立製作所の動向を今後も追い続ける。
注目ポイント:
- 防衛事業の拡大と防衛省との関係
- 原子力事業の方向性(SMR展開の成否)
- デジタル事業と政府調達の実態
- GlobalLogic統合の成否
- 政府補助金の受け取り状況
- 天下りと官民連携の実態
日立製作所と政府の共依存構造は、日本の経済構造における重要な課題である。
徳永俊昭氏が、政府との健全な距離感を保ち、透明性の高い経営を実現できるのか。
それとも、政府依存をさらに強め、国策企業としての性格を強めていくのか。
企業と政府の関係を監視し続けることが、市民の利益を守るために不可欠である。
【参考資料・出典】
本記事は以下の公開情報を基に作成されています。
公的資料・報道記事:
- 日本経済新聞(2024年12月16日「日立社長に徳永俊昭氏昇格、デジタル・インフラ軸に成長へ」、2025年3月19日「日立製作所・徳永俊昭次期社長の初手 肝煎り組織でデジタル革新」、2019年1月11日「日立、英原発事業を中断 2000億円規模の損失計上へ」、2020年9月16日「日立、英原発から撤退 再エネ台頭で採算難しく」)
- 東洋経済オンライン(2024年12月16日「日立の新社長は『創業の地からやって来た大本命』」、2019年1月21日「日立、原発プロジェクト凍結は大英断なのか」)
- 日経クロステック(2024年12月16日「日立製作所の現副社長が社長に、徳永俊昭氏のこれまでがわかる記事まとめ」、2024年12月23日「日立社長に昇格する徳永氏、『デジタル事業の申し子』を生んだ父親のリポート」、2025年2月24日「日立の徳永新体制が2025年4月に始動、鍵を握るのは社長直下の新組織」)
- クラウドWatch(2024年12月17日「日立、徳永俊昭副社長が次期社長に昇格 2025年4月に就任予定」)
- マイナビニュース(2024年12月16日「日立、来年4月から新社長兼CEOに副社長の徳永氏 – 『デジタルで持続可能な成長をOne日立で実現』」)
- 日刊自動車新聞(2025年3月21日「〈ひと〉日立製作所の次期社長兼CEO 徳永俊昭さん」)
- 日立製作所公式サイト(「防衛・社会インフラ安全保障」「ディフェンスシステム事業部」「2024中期経営計画」「2025年3月期連結決算の概要」)
- 日立製作所ニュースリリース(2020年9月16日「英国原子力発電所新設プロジェクトからの事業運営撤退の決定について」)
- 政府調達情報検索サイトIRBank(「株式会社日立製作所が落札した政府調達案件一覧」)
法令・制度:
- 会社法
- 金融商品取引法
- 原子力基本法
注記:
- 本記事は公開されている報道情報および公的資料を基に作成されています
- 徳永俊昭氏の家族情報は公開されていないため、記載していません
- 英国原発プロジェクトの損失額は、2019年3月期に2,946億円を計上しています
- GlobalLogic買収金額は約9,600億円(約1兆円)です
- 防衛省受注金額は2022年のデータ(280億9,245万円)を使用しています
- 時系列は複数の報道機関の報道を照合し、正確性を確認しています
- 本記事は事実の客観的記述を目的としており、特定の政治的立場に偏らない中立的な記述を心がけています
- 日立製作所と政府の関係については、公開情報および報道記事を参考にしています
参考資料・関連書籍
本記事の執筆にあたり、以下の書籍を参考にした。
様々な制度改革,法改正によって日本の株式会社制度とガバナンスは激動の時代を迎えた。その結果,企業経営に何がもたらされてきたのかを考察する一冊である。








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